Study on the Development of Movement Restraint Device for Aquaculture Facilities and its Practical Realization
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我が国における食料自給率は,昭和40年代までは高い 水準を誇っていたが,近年では50 %を下回るようになっ た.世界的に見ても,現在の日本の自給率は,先進国の中 でも最も低い水準となっており自給率の改善が急務とな っている(農林水産省,2010).これは魚介類において も同様であり,近年,沿岸海域における水産資源生産力 は減少している.水産物の国内自給率については,昭和 40年では112 %となっているが,平成に入り国内生産量 は急激に減少,さらに海外からの輸入が増加し,平成10 年度からは自給率は60 %台までに減少した.その後,平 成17年からには自給率はやや回復してきているが,国内 生産量自体はあまり増加しておらず,未だ40 %程度を輸 入に頼っている(農林水産省,2011;政府統計の総合窓 口,2012;水産庁瀬戸内区水産研究所,2001).今後, 上記のような問題を含めた食への不安から海外調達から 国内調達への転換が必要となると考えられ,さらなる食 料自給率の回復が求められる. そこで,我が国沿岸海域では,安定した生産量を見込 むことのできる養殖漁業や栽培漁業が盛んに行われて きた. 全国沿岸海域で展開されている海面養殖漁業や栽培漁 業で多く用いられる養殖生簀は,海上浮体構造物である ため,波浪によって動揺する.この生簀の動揺にともな い,生簀内で飼育されている有用魚種が網と接触し,損 傷することにより商品価値が低下したり,魚がストレス を感じて死に至ったりといった水産資源生産力の低下が 問題となっている(加賀田ら,2007).こういった事例 は,特に岩礁性魚種において多くみられる. カサゴ,メバル,キジハタ等の岩礁性魚種は,海中で は,岩や海藻などに寄りついて生活する習性があり,養 殖生簀中では生簀の隅に集まって生息するために,生簀 の動揺による魚類生息環境への影響が大きいと考えられ る(写真-1).さらに,マグロ,カツオ,カンパチ等の回 遊性魚種については,海中では動き回って生活している ために,養殖生簀内で飼育する際には,回遊魚が動き回 れるだけの容積を確保する必要がある(根角,1990;加 賀田ら,2007).前述の岩礁性魚種についても,生簀の 動揺により生簀が変形し,安定して身を寄せる場所が確 土木学会論文集B2(海岸工学) Vol. 68,No. 2,2012,I_906-I_910