TWO CASES OF LEFT PARADUODENAL HERNIA DIAGNOSED PREOPERATIVELY BY MD-CT AND OPERATED LAPAROSCOPICALLY

傍十二指腸ヘルニアは,Treitz靱帯周囲の腹膜窩に腸管が嵌入する比較的稀な内ヘルニアである.今回,われわれはMDCTにより術前診断しえた左傍十二指腸ヘルニアの2例を経験し,それらに対して腹腔鏡手術を施行したので報告する.症例1は64歳,男性.MDCT検査にて,左上腹部に嚢状の拡張した腸管を認め,その腹側には下腸間膜静脈(IMV)を認めた.腹腔鏡下に左傍十二指腸窩に嵌入した小腸を整復し,ヘルニア門を閉鎖する腹腔鏡下手術を行った.症例2は40歳,男性.MDCT検査では,膵尾部下方に小腸が一塊となって認め,その腹側にIMVの走行が確認された.手術は,上十二指腸窩に大きなヘルニア門を認め,小開腹を追加した腹腔鏡補助下手術を施行した.以上より,MDCT検査は傍十二指腸窩ヘルニアの診断に優れ,腹腔鏡手術は本症例に対する有効な治療法と考える.