Present state and future perspective for ergonomics of thermal environment in Japan

温熱環境要因には、気温、気湿、気流、輻射熱 があるが、これらが統合し人体に影響を及ぼす。温 熱環境人間工学では、温熱環境の人体への影響に っいて、様々な方法で評価を行っている。単なる温 熱環境要因の物理量測定や温熱評価指数の開発 、 様々な指数や予測式による温熱環境評価や人間へ の影響評価、これらの算出に用いられる着衣の断 熱性や作業量の測定、主観尺度による温熱環境評 価、生理的測定に基づく人間の暑熱寒冷負荷の評 価などが挙げられる。これらの評価指標のなかで、 生理的測定に基づく評価 は、人間の反応を実測し ているため最も有用であるといえる。 1981年以降に人間工学会あるいは雑誌において 過去 に発表された温熱環境人間工学関連の研究 は、徐 々に増加している。その内容は、1980年代に は、おもに、作業者の負担軽減 に寄与する研究1-3) や体温調節モデルに関する研究4-6)などが見られた。 1980年 代後半から1990年代にかけて快適性に関す る研究7,8)や高齢者身障者9-16)を対象とした研究など が見られるようになった。前後して、子供を対象とし た研究17)もみられるようになる。室内温熱環境に関 する研究として、快適性 に関する研究18,19)に 加え、 実際の居室空間を想定した研究が見られるようにな る。床暖房に関連する局所加温の研究20-22)や1990 年代後半には浴室内の温熱環境や生体負担に関 する研究23-29)が多くみられる。2000年 に入ると、温熱 環境要因に対する反応の個人差に関する研究30,31)、 部位別特性を考慮した体温調節モデルの開発32-34)、 夏季の寝室の温熱環境(微 気流、天井放射冷房)に 関する研究35,36)などが見られるようになる。なお、こ れらの研究は人間工学会で発表されたもののみで ある。温熱環境が人体へ及ぼす生理的影響につい ては、環境生理学、生理人類学、生気象学、被服 学、衛生学など人間工学以外の分野で多く発表さ れているのが現状である。