A Word Length Allocation Method for Multipliers of the Lossless DCT( Special Section on Papers Selected from ITC-CSCC 2002)

あらまし 可逆/非可逆・統合符号化の一手法としてリフティング構成された可逆 DCT(LDCT)が近年研究 されている.例として,乗算器のない 4 点可逆アダマール変換を用いて LDCT の乗算器数を低減する手法や, 非分離型 2 次元構成による丸め誤差の低減手法などが挙げられる.しかし,演算負荷の軽減を目的とした乗算係 数値の短語長化については,LDCTに関してはこれまであまり研究されていない.本論文では LDCT 内の乗算 器係数値の短語長化による画質劣化の度合として「画質係数感度」を新たに定義し,これを用いた乗算係数値の 語長配分法を提案する.シミュレーション実験の結果,一様な語長配分を行った場合よりもおよそ 2ビット程度 短い平均語長で同等の画質を実現できること,及び,従来の実数乗算を,平均語長 3 [bit]程度の整数乗算に置換 できることが示された.本論文で述べた係数感度を考慮して従来の実数乗算を整数乗算に置換することで,例え ばリアルタイムソフトウェアエンコーダのような応用における処理の高速化や,ハードウェア実現時の回路規模 の縮小が期待できると考えられる. キーワード 可逆,DCT,感度,語長,ラウンディング