A CASE OF SCHWANNOMA OF THE STOMACH AND A REVIEW OF 287 CUMULATIVE JAPANESE CASES

35歳,男性.胃のつかえ感を主訴とし,精査にて胃体上部小彎に径4 cmの粘膜下腫瘤を認めた.生検による病理検査にて,紡錘型細胞の増殖・核のpalisadingを認め,免疫染色においてS-100蛋白およびNSEが陽性であり胃神経鞘腫と診断され,噴門側胃切除術(D1,神経温存)を施行した.胃神経鞘腫の本邦報告287例をまとめた.平均年齢は59.0歳,男女比は2:3であり,症状は腹痛,腹部腫瘤触知,吐下血の順に多かった.占拠部位は胃体小彎後壁側にやや多く,腫瘍径の平均は6.0cmであった.手術術式は腫瘍摘出術から胃全摘術まで様々であったが,胃神経鞘腫の悪性の割合(4.8~10.0%)や悪性例のうちリンパ節転移をきたす割合(10.0%)を考慮すると,必ずしも広範囲胃切除術は必要ないと考える.腫瘍の種類・性質をより正確に把握し,適格な外科的治療を選択することが重要である.