A CASE OF NECROTIZING ANGITIS OF THE BILATERAL BREAST

結節性動脈周囲炎(以 下PN)は,諸 臓 器の中小動脈 を中心 に 壊死性血管炎を起 こし, 一般に予後不良な 全身性疾患である.最 近われわれは,一 般全身症状を 伴なわず,両 側 乳房の結節性有痛性腫瘤を主訴 とし,両 側乳房のみに壊死性血管炎を認めたきわめて珍 し い1症 例を経験 したので報 告す る. 症例は67歳 の女性,両 側乳房の結節性有痛性腫瘤を主訴 として来院 した.乳 房腫瘤は, 右側4.1×3.0cm,左 側1.0×0.9cmで,比 較的軟 らか く,表 面平滑で圧痛陽性,皮 膚 との 癒 着はないが発赤を認めた.乳 房撮影写真で,淡 い腫瘤陰影 と血管陰影の増強が認め られ たので,局 麻下に腫 瘤摘出術を施行 した.病 理 組織像は,両 側 とも乳腺組織内の間質に慢 性 炎症 性細胞浸潤 と肉芽組織の増殖を認め,主 として動脈壁の肥厚,内 膜の浮腫,壁 全層 と血管 周囲に炎症性 細胞浸潤がみ られた.こ の病理組織像は, Kussmaul-Maier型 の古典 的PN型 の壊死性血管炎 と考え られた. そこでPNに 関す る全身の 検索 を施行 したが,赤 沈 の亢進 と時 折の37.0°C 位 の発熱以 外 何の全 身症状 も呈 さず,腎 は生 検に より病変のない ことを確認 した.厚 生省特定疾患 の PN診 断基準に 当てはめ ると,組 織所見 のみ陽性 で,他 の検 査 ・臨床所見に 合致す る項 目