A preliminary study of coordinated head and mandibular tapping movements through analysis of multi-reference points.

我々はこれまで下顎の咀嚼運動時やタッピング運動時に頭部が下顎と協調してリズミカルに運動することを報告してきた.しかしいずれの報告も上下顎の切歯点を分析対象としたものであり, 頭部全体の運動を説明するには至っていない.そこで著者らは矢状面内におけるタッピング運動時の頭部の運動様相を把握する目的で頭部に複数の分析点を設け, それらの点の運動方向, 運動距離を計測することによって, 頭部運動の解析を試みた.測定には6自由度顎運動測定装置を用い, 頭部を固定することなく行った.被験者として自覚, 他覚的に顎口腔系に異常を認めない26~27歳の本学男子大学院生4名を選択しタッピング運動を負荷した.その結果を以下に示す.1.タッピング運動の際, 矢状面観で, 頭部は下顎開口時に上顎切歯点が下顎切歯点と離れるよう後屈方向に, 閉口時にはこれらが近づくように前屈方向にと回転運動を行っていることが明らかとなった.2.頻度1Hzのタッピングでは頻度3Hzのタッピングより各分析点の運動距離は有意に大きいが, 運動方向に有意差は見られなかった.3.頭部回転運動の中心探索の結果, タッピング運動の開口相において頭部運動の回転中心は, 頸椎の上方の体軸上に分布しており, この位置はタッピング頻度と関係のあることが示唆された.