Three cases of leiomyoblastoma of the stomach.

はじめに 胃の平滑筋腫瘍の中で特異な組織像を示すものにご平 滑筋芽細胞腫がある.1985年,小 野ら1)の報告ではわが 国で143例が集計されており,その後のわれわれの調査 例を含めて173例になるが比較的まれな疾患と考えら れる.今 回われわれは,胃 癌併存2例 を含む3例 の胃 平滑筋芽細胞腫を経験 したので報告する. I.症 例 症例1.87歳,男 性. 主訴:上 腹部腫瘤,嘔 気. 現病歴:昭 和54年2月,上 腹部にピンポン玉大のし こりに気づき近医受診.胃 の腫瘍を指摘されたが,悪 性ではないといわれたので放置 していた.同 年9月 よ り嘔気と腹部膨満感が出現したので当科を受診した. 6ヵ 月間で4kgの 体重減少があった, 入院時現症:上 腹部に成人手挙大および小児手挙大 の2個 の硬い腫瘤を触知. 胃X線 所見:胃 角部から幽門輪にかけて壁不整を伴 う全周性狭窄があ り,胃 体部大弯には8×6cm大 の境 界明瞭楕円形の陰影欠損が認められた. 胃内視鏡所見:胃 角部から幽門前庭部にかけて表面 に浅い潰瘍とびらんをもった隆起性病変により全周性 に狭窄し,生 検で低分化型腺癌 と診断された.胃 体部 には表面平滑な半球状隆起性病変があり,表 面の粘膜 には異常なく粘膜下腫瘍と思われた.生 検では正常胃 粘膜のみで腫瘍細胞は検出されなかった. 以上より,胃 癌および胃粘膜下腫瘍の診断で55年1 月手 術 を行 った. 手 術所 見:胃 中 ・下 部 の 胃癌 は広 範 な漿膜 浸潤 と リ ンパ節転 移 を伴 い,膵 頭部 に直 接 浸潤 して いた.胃 体 部 の粘膜 下腫瘍 は 胃外 には突 出せず,漿 膜面 に も変化 はなか った.胃 全 摘術 施行(P0,H0,N2(+)以 上,S3, StageIV,R1,絶 対 非治 癒切 除). 切 除 標 本:胃 中 ・下 部 に7.5×7.0cm大 の 浅 い 潰瘍 を もつ13×8cm大 のBorrmann3型 胃癌 が あ り.そ の 口側 に約2cm離 れ て 胃 内腔 に半球 状 に突 出 し頂 点 に