Early study for embedded engineer Training on Univercity and public testing institute

1. 概要 平成 20 年度経済産業省 産学連携製造人材育成事業 で組込み中核人材プロジェクトの実証講義を、名古屋ソ フトウェアセンターを管理法人とし実施した。事業の目的 は、産業・輸送機器の物作りを基盤とした組込みソフトウ ェア開発において、安全の要求にこたえるため、技術者 の視点と管理者の視点を併せ持った「高度組込みソフト ウェア開発技術者」の育成である。実施方法は、大学に おける専門家の知識を中小企業に伝達することを課題と して設定した。実践性を考慮して、企業の専門家の方の 講義と、工場での現場の課題の確認を実施している。名 古屋工業大学、岐阜大学での実証講義には、株式会社 ティップス、東洋電機株式会社、名古屋市工業研究所な どが参加した。 コースの名称は、大学で開催するコースについては、2 つのコースの違いを明確にするため ETSS[1]に準拠して プロダクトマネージャ、ドメインスペシャリストという枠組み を用いた。公的試験研究機関としての名古屋市工業研 究所は、大学のシーズをいかに中小企業に伝達するの に注力した。実践性については、名古屋市工業研究所に おける研修、研修で再確認し、利用した技術、手法につ いて整理した。名古屋地区では、企業における先進的な 教育の取り組みがある[13][14]。また公的試験研究機関 における支援活動も活発である[10][11][12]。 第 2 章で電源・制御を中心とした名古屋工業大学のコ ースでの名古屋市工業研究所が取組んだグループ議論 を紹介し、第 3 章で岐阜大学の FPGA による画像処理編 での名古屋市工業研究所が取組んだグループ議論を紹 介する。第 4 章で、名古屋市工業研究所の研修での取組 みにおいて、大学のシーズをいかに中小企業に伝達する かについて確認した事項を整理し、第 5 章でまとめと今後 の課題を示す。 2. プロダクトマネージャコースにおけるグループ議論 2.1 なぜなぜ分析と HAZOP[2] な ぜ な ぜ 分 析 は 、 組 込 み サ マ ー ワ ー ク シ ョ ッ プ (SWEST)において、2 年連続で、グループ議論として取 り組まれ、好評を得た[3][4]。なぜなぜ分析は、地元の大 企業から中小企業に至るまで、不具合発生時にその原 因を調べ、対策をすばやく立てるために幅広く利用され ている。しかし、事前作業である HAZOP や、Automotive SPICE などの作業診断において、なぜなぜ分析が有効 であることは認知されていなかった。 HAZOP や Automotive SPICE において、なぜなえ z 分 析の原因―結果の連鎖をたどる構造に着目し、面談、議 論に生かす試みを行った。HAZOP を実施する際に、原 因分析、対策の検討などにおいてなぜなぜ分析の「な ぜ」を 5 回繰り返す手法を生かし、事前に原因の可能性 を洗い出すことを試みた。HAZOP でなぜなぜ分析を事 前にしてあれば、不具合発生時の原因追求と対策が効 率的になることが想定できる。実証講義においては、なぜ なぜ分析を経験後、HAZOP を実施する際になぜなぜ分 析の手法を利用した。 実証講義は1回だけであったが、有効な知見を得られ たため、内容の改定と資料の再整理を検討した。資料の 再整理のためのため、名古屋市工業研究所の主催で、 中部エレクトロニクス振興会、中部アイティ協同組合の協 力のもと、1日のなぜなぜ分析、HAZOP の研修を実施し た。技術者が集まるとしばしば利用者の視点が抜け落ち るが、技術者がテストドライバの資格を持っている場合に は、利用者の視点もでる可能性がある。また、ハードウェ アとソフトウェア技術者、製造業とその部品供給者の間の 情報交換が、HAZOP によって格段によくなることが確認 できた。 ソフトウェアに関連する HAZOP の事前の準備として、 状態遷移図と時系列図を UML[23]で記述しておくことが 重要であることを確認していたため、UML ツールの利用 も対応した。 2.2 グループ議論 なぜなぜ分析と HAZOP を、グループ議論として実施 *名古屋市工業研究所 **名古屋工業大学 ***岐阜大学 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report