FIBRINOLYTIC THERAPY AS AN OPTION FOR PERITONEOVENOUS SHUNT OCCLUSION

症例は73歳,男性.アルコール性肝硬変に合併した早期胃癌に対して手術を行った.術直後から血性腹水が出現し,保存的治療に反応せず,術後約6カ月目に腹腔-静脈シャントを留置した.3カ月後に閉塞しシャントを全交換した.その1カ月後に再び閉塞しシャントの再交換を要した.いずれもポンプチャンバー部分にフィブリン血栓が形成され,流出路を閉塞していた.その3カ月後に再び閉塞した.血栓溶解剤(ウロキナーゼ)をポンプチャンバー内に注入してフィブリン血栓溶解を試みたところ,翌日に再開通した.再開通後,一過性の頻脈,血圧上昇,血小板減少を認めたが回復し,大きな問題を認めなかった.現在までの3年間に計16回血栓溶解療法を行い,患者は健在で外来通院中である.腹腔-静脈シャントの閉塞に対し,基礎疾患によっては,ポンプチャンバー内フィブリン血栓溶解療法によってシャント交換を免れる例があるものと思われる.