Examination of the Problem on Evaporation of Standard Substances for Measuring PCDD/Fs in Atmosphere

大気中ダイオキシン類測定における4~8塩化物の揮発性に起因する問題点について検討を行った。まずはじめにろ紙及びポリウレタンフォーム (PUF) を装着したハイボリウムエアサンプラー (HiVol) を用い, 大気中ダイオキシン類測定における試料採取方法の検証を行った。4~8塩化物の中でも揮発性が高く, 毒性の低い13C12-1, 2, 3, 4-T4CDDをサンプリングスパイクとして用い, ろ紙に添加して捕集効率の確認を行ったところ, サンプリングスパイクは大部分がろ紙を通過して1段目のPUFに捕集されており, 2段目以降のPUFには破過していなかった。全体での回収率は40~60%と低かったが, その原因を調べたところ, サンプリングスパイクを添加してから試料採取開始まで約2時間開放で放置したため, サンプリングスパイクが揮散したものと推察された。これはろ紙上での揮発試験を行うことによって確認された。次に, 窒素吹き付けなどの濃縮操作時におけるサンプリングスパイクの揮発性について検討した。その結果, 窒素吹き付け操作ではサンプリングスパイク単独で存在する場合, サンプリングスパイクは容易に揮散することが確認された。ただし, サンプリングスパイク以外に揮発しにくい標準物質が共存する場合, サンプリングスパイクの揮散は抑制された。なお, 本稿の一部は第8回環境化学討論会 (1999年, 北九州市) で発表した。