High Performance Thermal Insulators Developed by using Particle Bonding and its Application for Material Recycling

固体微粒子集合体としての粉体は、先端から基盤分野に 至るまで、ほぼあらゆる産業に用いられている。それに対 応して、ナノ粒子や各種形態の粒子作製技術の開発が進む など、わが国の粉体技術も近年大きく進歩した。その中で も、特に粒子の複合構造を制御することにより微粒子材料 を開発する試みや、作製された複合粒子をさらに集積する ことにより、多様な微細構造を制御して各種新材料を開発 する試みが、最近大きく注目されている。 筆者らはその一つの取り組みとして、粒子同士を機械的 手法により接合して複合粒子を作製する研究と、作製され た複合粒子による新材料開発を進めてきた。本法は、後述 するように加熱操作を施さずに大気圧下で粒子同士を直接 接合するものであり、シンプル、かつ省エネルギー型の製 造プロセスであると考えられる。本稿では、この機械的手 法による粒子複合化プロセスの概要を紹介するとともに、 このプロセスの応用の一つとして、高性能断熱材料の実用 化に寄与した例を紹介する。 このように異種材料を複合化することにより、これまで 様々な新材料が実用化されてきたが、今後も大幅な地球温 暖化対策、省エネルギー化が進められる中で、リサイクル による資源の再利用、それに伴うエネルギーや環境負荷の 低減がますます重要になるものと思われる。したがって、 今後材料を実用化する際には、使用後のリサイクルやその 循環利用までも視野に入れる必要がある。また、既に実用 化され、これまで幅広く利用されてきた様々な材料を、廃 棄する際にどのようにリサイクルし、また資源としてどの ように再利用していくかと言った点についても、考えるべ き時代に来ている。このような要請に対して、筆者らは材 料界面の接合に加えて、その分離という観点から、リサイ クルが困難である複合材料の新しい循環利用に向けたアプ ローチを展開してきた。そこで、本稿では微粒子接合を応 用することにより難処理複合廃材のリサイクルに取り組ん だ事例についても説明する。具体例の一つとして、ガラス 繊維強化プラスチック (FRP)の 100 %有効利用による高性 能断熱材料開発への取り組みについて紹介したい。