Two autopsy cases of hepatocellular carcinoma with sarcomatous change after PEIT

要 旨:C型 肝硬変 ・肝細胞癌(HCC)で 肉腫様変化を認め,明 らかな血行性(肺 ・骨髄)転 移を 伴わず,著 明な全身 リンパ節転移 を認めた2剖 検例を経験 した.2症 例 とも治療前の腫瘍生検 にて高分化型HCCと 診断 し,抗 癌治療 として主にPEITを 施行 した.PEIT後 の経過観察中・ 腹部エコー ・CT検 査では明らかなHCC再 発や他臓器転移を伴わず,著 明な全身 リンパ節腫脹 を来 した.剖 検時の残存HCCお よびリンパ節転移巣は2症 例 とも未分化型HCCで あり,症 例 1で は軟骨肉腫および骨肉腫成分,症 例2で は巨細胞型の腫瘍細胞および肉腫成分 を含んでい た.本2症 例のように未分化型や肉腫様変化を伴 うHCCで はリンパ節転移が高頻度であり, HCCの 再発が明確でない時 には,悪 性 リンパ腫 との鑑別が重要 となる.近 年transcatheter arterialembolization(TAE)・ エタノール局注療法(PEIT)な どの局所治療の増加 とともに肉腫 様変化を伴うHCCの 報告が増加 しており,こ れらの2症 例で認められた組織学的変化 もPEIT やTAEの 直接,間 接的作用が示唆 された. 索引用語:肝 細胞癌PEIT肉 腫様変化 リンパ節転移