Fundamental Experiment for Detecting Misalignment of Visible Light Beam used for Underwater Optical Video Transmission System

近年,可視光を使って空間伝送を行う研究開発が盛んで あり,映像信号を空気中で数km程度伝送できることが報 告されている. 一方,水中では電波の減衰が大きなため,音波による通 信が一般的であり,映像のような広帯域な信号の伝送は困 難と考えられてきた.可視光は電波より減衰が小さいので, ダイバー同士の会話やインターネットの画像伝送に利用す る実験が行われている.概ね2010年以前の水中光伝送の 研究では伝送距離が著しく短かったが,近年,数十m程度 の距離を想定した水中光伝送の研究が海外で盛んに報告さ れている.今後もLEDの高出力化,低廉化の進展と ともに伝送距離が延びて行くものと期待される.ところで, 海中では海流等の外乱を受けても光送受信器間の光ビーム が外れないようにするためのトラッキング技術が重要であ るが,これらの報告では検討されていない.本論文は,映 像信号の伝送用の可視光を活用した光ビームのトラッキン グ技術について提案している.本技術を用いることにより, 移動体間の安定な光通信路を確保できるようになるだけで なく,暗い海のなかでも光受信器を迅速に探せるようにな ると考えられる. 最近の撮像技術には目をみはるものがあり,ダイオウイ カのような深海に棲む未知の生物の姿も家庭のテレビで見 ることができるようになった.しかし,伝送技術がないた めに撮影した映像を記録して持ち帰る必要があり,浮上し て再生するまでに多くの時間がかかるという問題がある. 本研究の目的は海中を動き回る潜水艇からテレビ生放送 をする伝送技術を開発することである.潜水艇から洋上の 船までの長い距離を可視光で伝送することは伝送損失が大 きく困難である.潜水艇と船とを光ファイバで結べば,伝 送損失の課題を解決できるが,潜水艇の移動性能を損なう ばかりでなく,光ケーブルが切れる恐れもある. 映像信号の伝送候補として想定する可視光のなかで青色 は外洋では最も損失が小さい.青色レーザ光を用いた実験 によると,浅い水深では季節や場所で減衰量は大きく変化 するが,100 mを超える水深では0.2 dB/m程度と小さく, かつ安定となる.そこで,潜水艇の移動を妨げないよう に,潜水艇の近くに中継装置を置き,映像信号を海中で短 距離伝送し,さらにこれを洋上の船まで光ファイバを用い て長距離伝送するシステムを提案した.光源にはLD (Laser Diode)と比較して人体に及ぼす危険性が低く,戻 り光による電気光変換特性劣化がない LED(L i g h t Emitting Diode)を用いている.これまでに,高い指向性 が得られる小型のLEDを多数配置した光送信装置を試作 し,FM方式による映像信号の伝送実験を行い,良好な画 像を得ることに成功した. このシステムでは潜水艇も中継装置も動くのを前提とす るため,中継装置が光を捉え続けられるように,光送信装 置が光ビームのずれの方向と程度を知って,出射方向を制 御するトラッキング技術が重要となる. あらまし 深海の潜水艇からテレビ生中継を実現するための映像の光伝送システムを提案する.潜水艇の近くに中 継装置を置き,潜水艇で撮影した映像を青色LEDの光で中継装置に送り,洋上の船まで光ファイバでさらに伝送す る.このシステムでは出射ビームが常に中継装置を捉えることができるように光ビームのずれを検出する手法が重要 となる.そこで任意の方向からの光を受信できるように中継装置を球形とし,表面に貼った再帰性反射材で反射した 光を潜水艇側の複数の受光器で受光し,その強度を比較することでずれの方向を検出する工夫をしている.本論文は, 球形の中継装置を試作する前段階として,円板状の再帰性反射材を移動させて光送信装置でずれを検出する基礎実験 について述べている.受光電力に関する理論値との比較を行い,良い一致をみた.

[1]  Zahir Ahmad,et al.  Link Design for Multi-hop Underwater Optical Wireless Sensor Network , 2012, ICSNC 2012.

[2]  Xiaobo Tan,et al.  Design and development of an LED-based optical communication system for autonomous underwater robots , 2013, 2013 IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics.

[3]  Joseph M. Kahn,et al.  Wireless Infrared Communications , 1994 .