Renal Cell Carcinoma found in General Health Checkups

1987年から1997年の11年間にオリエンタルクリニックの総合健診を受けた延べ173, 265人の受診者から33例の腎細胞癌が発見された。すべての症例は腹部超音波検査で腎臓に異常が指摘され, 紹介先の医療機関で組織学的に診断され, 手術がなされたものである。これらの自覚症状, 臨床検査値の異常の有無, 腫瘍の大きさ, 進展度, 組織学的異型度 (異型度) と腫瘍の内部エコー (エコー輝度, エコーパターン) の関連, 予後を検討した。腎細胞癌に特徴的な三徴候である肉眼的血尿, 腎部痛, 腫瘤触知は認めず, 臨床検査値の異常は, 主に血沈異常を2例, CRP陽性を1例認めた。貧血, 多血症, 高Ca血症は認められなかった。腫瘍の長径は15mm~107mmであった。進展度は主に紹介先の医療機関で診断され, TMN分類で1,2), pT16例, pT220例, pT32例, pT41例, 不明4例であった。ロブソン分類3)はI期26例, II期4例, III期1例, IV期1例, 不明1例であった。腫瘍の大きさ, 進展度とエコー輝度, エコーパターンの関連は, 腫瘍が小さく, 進展度が低い症例に高エコー, 均一型が多い傾向を認めた。異型度がGlの8例と, G2の8例の平均腫瘍径は31.0mm±13.4mm, 50.9mm±15.1mmとG1が小さい傾向を示した。すべての症例に手術が行われ, 腎部分切除術の1例のほかは根治的腎摘除術であった。予後の観察期間は最短1年~最長11年 (平均5.5年) であり, 死亡1例, 不明1例を除き31例が生存している。