A Case of Appendiceal Adenoendocrine Cell Carcinoma

まれな虫垂原発腺内分泌細胞癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は75歳の男性で,熱発と全身倦怠感を主訴に紹介入院となった.右下腹部に弾性硬,可動性のない小鶏卵大の腫瘤を触知したが,圧痛,反跳痛は認めなかった.CTにて虫垂の腫大と壁肥厚を認め,内部に低吸収域を認めた.また,肝S7,S8に辺縁が分葉状で被膜様の造影効果を示す腫瘍影を認め,原発性虫垂癌,肝膿瘍の疑いと診断し,回盲部切除術を施行した.虫垂腫瘍は90×52 mm大に腫大し,粘膜面は粗大絨毛状で内部に粘液の貯留は認めなかった.病理組織学的には,腺癌部の中に神経内分泌分化の像を認め,同部の免疫染色検査ではsynaptophysin陽性を示し,虫垂原発腺内分泌細胞癌と診断された.肝腫瘍は術後,自然退縮を認め肝膿瘍と診断された.虫垂原発内分泌細胞癌はまれで,本邦でこれまでに5例の報告を見るのみである.