A Case of Primary Hepatic Carcinoma and Hepatic Sarcoma with Cirrhosis of the Liver.

69歳の男,約4年前より肝機能検査異常を指摘され,全身倦怠,下肢浮腫,食思不振,発熱および腹部膨満を訴え,肝シンチグラムで右葉上部に欠損像をみとめ,血清のα-Fetoproteinは陰性であった.肝性昏睡により死亡.剖検では肝は狭間質,大結節をみとめて乙型肝硬変の像を示し,右葉に白色大腫瘍塊をみとめ,組織学的には紡錘細胞肉腫であった.また左葉に小腫瘍塊をみとめ,組織学的には高分化,小索状型肝細胞癌であった.肝癌は全く転移はみられず,肝肉腫は広範に腹膜上に転移し,さらに両肺,大動脈および気管リンパ節にも転移がみられた.原発性肝癌と肝肉腫が合併して発生した症例は極めて少なく,本邦では最初の報告例である.