Role of VLBI Technology in the Space-Time Standards

1960 年 代に VLBI (Very Long Baseline Interferometry、超長基線電波干渉計)技術が初めて登 場したとき、それを可能にしたのは高速で大容量 のデータ記録技術が利用できるようになっていた ことと併せて、水素メーザーという周波数標準が 発明されていたことが重要な役割を果たした[1]。 それまで、複数の電波望遠鏡で受信した信号を重 ね合わせてその結果の信号の振幅を測定すれば、 電波源の位置や大きさを正確に測定したり、さら には電波源の精密な構造を調べることができるこ とは知られていた。しかし、そのためには受信し た信号の周波数を変換するために使用する局部信 号を共通にする必要があり、そのために1つの共 通の局部信号を同軸ケーブルでそれぞれの電波望 遠鏡に供給する必要があった。また、受信した信 号を再生可能な状態で記録することができなかっ たため、やはり同軸ケーブルで受信信号を伝送し てそのまま合成する必要があり、電波望遠鏡間の 距離を大きく離すことには限界があった。ところ が、水素メーザーが利用できるようになったこと で、電波望遠鏡ごとに独立な周波数標準に準拠し た局部信号を生成することができるようになり、 可干渉性(コヒーレンス)を維持したまま周波数変 換することができるようになった。また、記録す 時空標準特集 特集