Effect of the time between slaughter and aspiration of follicles on the developmental capability of bovine oocytes matured and fertilized in vitro.

屠殺した牛の卵巣から未成熟卵胞卵子を採取するに際し,屠殺直後に屠場において吸引採取し,39°Cで培養した場合(屠殺後平均17分)と38°Cに温めた生食水に卵巣を入れ実験室に持ちかえって吸引採取した場合(屠殺後平均162分)について,体外成熟後の卵子の受精能やその後の発育性を比較検討した。体外成熟には吸引採取後の卵子を22時間培養し,体外受精には1頭の種雄牛の凍結精子を,12.5×106/m1の濃度に調整して行った。媒精60時間後に卵子の分割状況を検査し,8細胞期以上の胚を家兎卵管で5日間培養し,その後の胚盤胞への発育性を調べた。(1)屠場採卵区の体外成熟卵の体外受精後の2細胞期以上への分割率は34.6%(465/1342),実験室採卵区で30.6%(302/988)と屠場採卵区で有意に高かった。(2)8細胞期への発生は屠場採卵区で5.1%(69/1342),実験室採卵区で5.2%(51/988)であった。(3)家兎卵管に移植した8細胞期以上の胚のうち,屠場採卵区では56個中16個(28.6%)が胚盤胞に発育したのに対し,実験室採卵区では回収卵42個中6個(14.3%)であった。以上の結果から未成熟卵胞卵子を採取して体外成熟,体外受精に用いるに際しては,2細胞期への発生率や胚盤胞の収量からみて屠殺後速やかに吸引採取して,39°Cで培養しながら輸送することが望ましい。