A CASE OF OMENTAL TORSION SECONDARY TO AN INGUINAL HERNIA

今回われわれは,鼠径ヘルニアによる続発性大網捻転症の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.右鼠径部痛を主訴に当院を受診した.右鼠径ヘルニア嵌頓を認め,整復は不可能であった.また右側腹部に自発痛,圧痛を認めた.腹部CTで右側横行結腸尾側に渦巻状の層構造を認め,その遠位側の大網は浮腫状の変化を示し,拡張した右鼠径管に連続した.右鼠径ヘルニア嵌頓および続発性大網捻転症疑いの診断で緊急手術を行った.外鼠径ヘルニアの嵌頓で,大網が索状となりヘルニア嚢に癒着していた.癒着部は時計回りに4回捻転しており,末梢側の一部に壊死を認めた.中枢側の大網に壊死を認めなかった.癒着し捻転していた壊死部大網の切除を行い,メッシュプラグ法で鼠径ヘルニアは修復した.術後8日目で退院,大網の浮腫によると思われる右側腹部痛は術後3週ほど続いたが自然に軽快した.