Lossless Compression of Multi-channel Signals Using Inter-channel Correlation

本稿では,多チャネル時系列信号を対象に,各チャネルごとの時間領域の線形予測とその残差信号 のチャネル間相関に基づく適応的差分を柔軟に利用した可逆圧縮符号化法を提案する.予測残差信号 のチャネル間相関関数を基準に,符号化対象のチャネル信号から参照チャネルに最適重み係数を乗じ た信号を引いた差信号を求め,信号の振幅が小さくなる傾向を利用してエントロピー符号化を行う. 参照チャネルと符号化対象チャネルは逐次芋づる式に求め,参照チャネルの番号と重み係数を補助情 報とする.また全体のチャネルを複数の集合に分割することで,処理量の増大を防ぐ手法や,重み 係数と参照チャネルの探索を複数回繰り返す改善法を示した.通常の 2 から 8 チャネルの音響信号, 256チャネルの脳磁計を対象に本手法の符号化実験を行い,2チャネルを対にした従来のジョイント・ ステレオ符号化より最大約 3%圧縮率を改善できることを示した.これらの提案手法は ISO/IEC の MPEG(Moving Picture Experts Group)で標準化が進められているロスレス・オーディオ信号の 符号化モジュールとして提案され,オーディオ信号だけでなく,広範囲の時系列信号の符号化に国際 的に広く利用される見込みである.この研究は東京大学大学院情報理工学系研究科と日本電信電話株 式会社との産学連携講座に基づく共同研究の成果である.

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[2]  K. Konstantinides An introduction to super audio CD and DVD-Audio , 2003 .

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