A case of microscopic low-grade appendiceal mucinous neoplasm complicated with appendicitis resected by reduced-port laparoscopic surgery

虫垂炎は代表的な良性の急性腹部疾患であり,地域や病 院の規模を問わず広く外科的治療が行われている.その術 式も以前は開腹虫垂切除術(OA)のみであったが,近年 では腹腔鏡下虫垂切除術(LA)や単孔式腹腔鏡下虫垂切 除術(SLA)が実施される症例も増加している.しかし, SLAにおいては LAと比較して鉗子の操作範囲が限られ るので,病巣が穿孔した際の危険性を考慮して,癒着や腫 瘍を伴う症例の報告はまだ少なく,術前から明らかに腫 瘍性病変を疑う場合には適用されない場合が多い.一方で 虫垂の術後標本において初めて腫瘍性病変の合併が指摘さ れる場合もあるが,本邦では特に地方における病理医の不 足が著しい現状から,施設によっては摘出虫垂が肉眼的 に良性と考えられる症例では標本が病理組織検査に提出さ れない場合も認められる.われわれは高度炎症を伴う虫垂 切除を単孔式腹腔鏡アプローチから移行した reduced port surgery(RPS)で実施したところ,術後病理検査で顕微鏡 的な虫垂粘液嚢胞腺腫(low-grade appendiceal mucinous neoplasm:LAMN)の合併を認めた1例を経験したので報 告する.