[A case of chronic primary chylopericardium].

は じめに 心膜内に限局した乳糜液の貯留 は非常 に 希で あ り,1954年GrovesとEffler1)が``primary chylopericardium''と して初 めて記載 して以後,現 在 までに24例の報告がある.わ れわれは健康診断で 偶然心陰影の拡大を発見され,本 症 と診断された 症例を経験 したので,こ こに報告する. 症 例 患者: ・ ・42才,男 性,会 社員. 家族歴 ・既往歴: 特記すぺきものなく胸腹部 の外傷,肺 炎などの感染はない. 現病歴: 昭和45年 健康診断を受け,胸 部X線 写真にて心陰影の拡大をはじめて指摘されたが, 自覚症状がないため放置 していた.昭 和48年 健康 診断にて再び心陰影の拡大を指摘され,昭 和49年 4月1昭 精査のため当科に入院 した. 入院時理学的所見: 体格中等大,栄 養良好, 体温36.2°C,チ アノーゼ,貧 血,黄 疸なく,脈 拍 64/分整,呼吸20/分 整,血 圧は138/88mm kgで奇 脈なく,肺 領域に異常所見な し.心 濁音界は左右 に著明に拡大 して右は胸骨右縁より2横 指外側, 左は左中腋窩線に達 していた.聴 診では心尖部に III 音を認めたが,心 雑音,心 膜摩擦音 は 聴取 さ れなかつた.頚 部静脈怒張,腹 水,浮 腫はなく, 肝は正中線にて2横 指触知 したが脾,腎 は触知せ ず,神 経学的にも異常を認めなかつた。 検査成績: 血色素量15.59/dl,赤 血球数462 万,白 血球数8,000,血 小板数17.4万,骨 髄像 正常,尿 および便に異常所見な し.血 沈1時 間値 2mm,血 液生化学的検査でも異常所見な く,血 清 総蛋白7.09畑,血清 蛋 白分画正常,GOT19単 〔昭和49年10月12日 第251回 関東地方会推薦〕