A novel system for evaluating motor function of upper extremity in hemiplegic patients based on inverse dynamic analysis

リハビリテーションの臨床現場では,患者の機能を簡便かつ定量的に評価できることが求められている.本研究では,我々が開発した CCDカメラと力覚センサを用いた 2次元逆動力学解析システムを用いて,片麻痺患者の上肢運動機能を評価した.運動タスクは,ほとんどの患者が運動でき,かつ再現性が高い 1軸のレバー回転(定トルク)とした.被験者は,痙性麻痺の軽度な片麻痺患者 10名(以下,片麻痺群)と比較検討のため健常者 10名(以下,健常群)とし,関節可動域と関節モーメントの変化や隣接関節の協調運動を検討した.その結果,関節可動域は,両群とも同様な軌跡であったが,健常群は片麻痺群と比べ,手関節を広範囲に用いる傾向にあった.関節モーメントは,健常群では全例において肩関節と肘関節を優位に用いる傾向にあった.片麻痺群では肩関節と肘関節を優位に用いる群と変化の少ない群とが認められた.健常群は運動タスクの開始時から肘関節,肩関節の順で有意に増大し,片麻痺群では 20度以降から肩関節が有意に増大した.この結果は,軽度な片麻痺群が痙性麻痺により,各関節の選択的な随意運動ができなかったことを反映している.このことより,臨床場面で我々が開発した解析システムによって,軽度片麻痺患者の上肢運動機能を評価できることが示唆された.