Reeducation for Design Engineers in Fukuoka System LSI College

工学教育(J.of JSEE), 60–3(2012) 1.はじめに 今世紀のグローバル競争の時代はこれまでになく製 品のライフサイクルが短く,製品開発に必要な技術人 材を効率的に配置せざるを得ず,その結果が「事業の 選択と集中」の経営となっている.本来,社会人の技 術スキルの向上は個人の問題であり,技術者個人がキ ャリア形成のために自らに投資し,大学を始めとする 教育機関で必要な時期に必要な知識とスキルを向上さ せるべきであろう.研究者,技術者の流動性の高い米 国では必要な時に,必要な技術者を人材市場で調達す ればよく,既に企業がコストを掛けて人材を育成する ことに疑問を投げかけている.一方,終身雇用制の 下で社内での人材育成を中心に行ってきた日本の企業 には従来通り社内リソースのみに依存して,人材を育 成する余裕はもはやなくなっている. 日本においては人材市場の流動性が変化したとはい え,従来の制度や慣行に拘束され,有能な人材の流動 化が極めて乏しく,有能な人材を即座に社外に求める ことは難しい.そのため日本の大企業は従来通りに社 内で技術人材を育成してきたが,「事業の選択と集中」 から自前主義の人材育成事業は破綻しつつある.しか し,これまで構築された人材育成の仕組みについて, 教育内容や考え方そのものが陳腐化した訳ではない. 我々は「福岡システムLSIカレッジ(以下,LSI カレッジと略称)」を平成13年に設立し,大企業が開 発した人材育成の仕組みを応用して,よりオープンで 企業目的に適った技術人材を育成し,産業界に提供し ている.企業の意見を人材育成事業に反映させるため に,品質管理のPDCA (Plan, Do, Check, Action)手法 を取り入れ,講座品質の改善に努めた.8年間(平成 16~23年度)の評価データを分析した結果,講座品質 は累積受講者数と深い相関があり,累積受講者の多さ は高い講座品質と同等であることを確認した.高い講 座品質が達成できた要因は産学官が連携してPDCAを 回したことである.