Secular trends in stroke incidence and risk factors for cerebral infarction in a rural Japanese population.

秋田農村における1963年から1984年までの疫学調査成績より, 脳卒中の発生状況の推移及び脳梗塞の発生要因の変遷を検討した.1.40~69歳では脳出血, 脳梗塞ともに発生率は著明に減少した.70歳以上では脳出血は減少したが, 脳梗塞の発生率は明らかな減少を認めなかった.この間の高齢者人口の増加により, 70歳以上の脳梗塞発生数は増加した.2.相対危険度及び多変量解析より, 前期コホート (1963~66年) では性別 (男子), 加齢, 高血圧, 眼底異常 (眼底高血圧性変化及び動脈硬化性変化) が, 後期コホート (1972~75年) では性別 (男子), 加齢, 高血圧, 心房細動が脳梗塞の有意のリスクファクターとなった.3.母集団寄与危険率より, 前・後期ともに高血圧が脳梗塞発生に最も寄与していたが, その寄与危険率は前期から後期にかけ著明に減少した.後期の心房細動について脳梗塞の相対危険度は約3.6倍の高値を示したが, 脳梗塞に対する寄与危険率は約3%と低率であった.