地球システムモデルのためのシンプルなカップラー「Scup」の開発

地球システムモデルを作成する目的で使用可能な、汎用のシンプルなカップラーScup (Simple coupler)の開発を行った。Scupを用いて例えば大気・海洋大循環モデルや化学輸送モデルのような要素モデルを柔軟に結合することが可能である。Scupは気象研究所の地球システムモデルを効率的に開発するために必要な機能を備えており、その基本設計は他の地球システムモデルにも適用可能である。Scupライブラリを呼ぶことにより要素モデルの各々のプロセスはお互いに直接通信を行っており、このことは要素モデルのプロセス間で大容量のグリッドデータを効率的に交換するために必要である。Scupは3次元データのグリッド変換や局所的かつ全球的に正確に保存する2次元データのグリッド変換をサポートしており、これは異なる座標やグリッドを持つ要素モデルを結合するために必要な特徴である。単純さと使用しやすさはScupの長所である。ScupのすべてのソースコードはFortranで記述され、Fortran95コンパイラとMPIライブラリを有する多様なプラットフォームでコンパイル可能なので、Scupは可搬性に優れている。