Prediction of Aerodynamic Coefficients Considering the Train Speed

強風にさらされた場合の車両の転覆耐力は,日本,ヨ ーロッパ共に,風上側の車輪にかかる重量が 0 となる風 速を限界風速として,その風速値により評価している。 これらの限界風速は風洞実験から得られる空気力係数を 基に,車両の力学的解析により推定される 。 日本においては,強風による車両の転覆事故が過去に 幾つか発生しており,事故原因の究明過程において車両 の転覆耐力の評価が行われてきた。近年では 1986 年 12 月に山陰本線余部橋りょうで発生した車両脱線転落事故 の調査により,車両に働く空気力は車両形状のみならず, 地上構造物形状に依存することが明らかとなった。また 1994 年 2 月の同日に発生した,根室本線における特急脱 線事故,および三陸鉄道南リアス線における列車脱線事 故の原因調査において,空気力係数は車両に対する風向 角によって異なることが明らかになった。そこで,地上 構造物と車両の組合せおよび風向角を考慮した風洞実験 を行って空気力係数を求める手法が取り入れられた。さ らに,自然風にさらされる車両の空気力の特性を明らか にするため,屋外に設置した実物大車両模型により風力 の測定を行った。この現地観測の結果を基に,自然風を 再現した風洞実験により空気力係数を測定する手法が 提案された。自然風を再現した風洞実験手法を用いた理 由としては,在来線は比較的低速で走行し,自然風の影 響が大きいと判断したためと考えられる。 一方,ヨーロッパでは,近年エネルギー効率の向上の ため,高速鉄道においてモーター分散型車両の導入によ る先頭車両の軽量化やさらなる高速化が試みられている ことから,車両に対する横風の影響や車両の転覆耐力に 関する研究が多く行われた。これらの研究を基にEU 域 SUMMARY