Effect of Rocuronium and Sugammadex in a Morbidly Obese Pregnant Patient with Spinal Muscular Atrophy Type III

30歳の女性.身長138cm,体重 70kg.BMI 36.8. 2歳時から登はん性歩行,易転倒性を認め,精査 の結果,SMAIII型と診断された.症状は緩徐に進 行し,10歳時には近位筋の筋萎縮,筋力低下により, 歩行困難となり,車いすによる移動を余儀なくされ た.関節拘縮による脊椎側弯と内反尖足も合併して いた.日常生活で呼吸障害を疑わせる息切れや呼吸 困難等の症状はなかった.また,手術7日前に転倒 により左上腕骨骨幹部骨折を合併していた. 今回,自然妊娠したが,筋力低下に起因する児娩 出力低下が予測されたため,妊娠37週6日に帝王 切開術が予定された.術前診察時,上肢の徒手筋力 テストは4/4,下肢は3/3と明らかな筋力低下が認 められた.術前の心電図,血液一般,生化学,血清 電解質,凝固能は正常であった.胸部X線写真上, 側弯(cobb角30°)を認めた.また,挿管困難予測因 子として開口障害(開口時の切歯間距離2横指, Mallampati分類:Class IV),小顎,短頚を認めた. 前投薬としてラニチジン150mgを内服後,手術 室入室し,心電図,非観血的血圧計,パルスオキシ メータ,筋弛緩モニター(TOF Watch-SX)を装 着した.意識下に尺骨神経刺激による母指内転筋反 応のキャリブレーションを施行したところ,四連反 応(train-of-four:TOF)比のコントロール値は 0.78 日臨麻会誌 Vol.35 No.3, 311 〜 314, 2015