Recent Topics of Ergo-Ophthalmological Problem of Children

1.は じめに 、 子供のIT環 境 を考 える時、体格にあった机や 椅子の問題が指摘され、情報機器 を利用する際の 環境 を改善 しようとする意識は高まっている1,2)。 これには、一般社会 における人間工学上の考え方 が浸透 し、更なる理解 を得ることが重要であ り、 この領域における活動や提言を続けて行 きたい と考 えている3,4)。 今回、日常眼科診療か らみた経験により本研究 で指摘 したいのは、子供の視機能 に変化が生 じて いて、視力のみな らず、調節力まで低下 している 子供が多 くなっている点である。我々は、増え続 ける子供の視力低下 と眼精疲労に対 し、なにが原 因であるかを調査するために、学童や生徒の学習 時の姿勢に着目した。そして、姿勢 と裸眼視力の 低下 との関連性を調べ るために、学習時の姿勢 を バ イオメカニ クスの観点か ら定量的に記述 し5)、 眼科学的に評価 した。その結果、視力低下群では、 正視群 と比較 して視距離が著 しく短 く、 調節力 が統計上有意に低下 していた。視力低下群の学習 時の視距離は平均値で15.0cmで あ り、調節力は 3.3D(デ ィオプタ)で あった。 最近、このような調節力が低下 している学童が、 さらに増加 している印象がある。 学校のIT化 とエルゴノミクスを考える時、学 童の調節力低下という事実は、大変重要なかかわ りを今後 もって くる可能性があると思われる。以 下にその詳細を述べ る。 2.日 常眼科診療 からみた学童の特徴 2-1)読 み書 きの視距離が15cmぐ らいの子供が 多い。 子供の調節力は、一般 に10D程 度あるはずで ある。しか し、前述 したように、読み書 きの視距 離が15cmく らいの子供の調節力は低下 していて、 3Dく らい しかない。これは、子供の生活が変化 し、室内で、常に近 くの物 を見ている生活 になっ ている傾 向と関係 しているか もしれない。文字情 報を視距離15cmく らいで見続けると、その距離 にピン トが固まって しまうような一時的現象が お き、同 じ近方視で も、40cm~50cmの コンピュ 。そのよう な場合、15cmの 視距離でモニターを見ようとす る。文字のない画像 だけな ら、お よそのアウ トラ インが見 えれば想像がつ くので、ぼけていても問 題は少ない。問題は、このような子供が15cmの 視距離で、モニター上の文字情報をよく見ようと した時、悪循環 が生 じて自律神経のバランスが く ずれ、眼精疲労や頭痛が生 じるケースである。視 対象の精細部分に焦点を合わせず適当に見てい る分には問題はないので、現段階で学校のIT教 育導入初期 の環境では、緊急に深刻な課題ではな いかも しれない。 しかし、今後IT環 境が急速に 整備され、学校生活の中心になった場合、もはや、 文字情報を適当に見ることは、許されないであろ う。限 られた授業時間という時間的拘束があるな かで、眼調節系へ大 きな負担をかけて精細部 を見 続けようと思った瞬間、子 どものIT化 と健康 と