Left Hydronephrosis Complicated with Sigmoid Colon Diverticulitis

症例は70歳の男性で発熱, 左下腹部痛, 食欲不振を主訴に近医受診しUS上S状結腸壁の肥厚を指摘され紹介となった. 左下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し, 血液検査でWBC16,290/μl, CRP11.47mg/dl, CA19-9 100.5U/mlと上昇していた. 注腸検査では直腸からS状結腸に約12cmの狭窄像を認めた. CTでは同部位に著明な壁肥厚像, 憩室, 直腸周囲のリンパ節腫脹と左水腎症を認めた. 保存的治療が限界となり, 悪性腫瘍による尿管浸潤を強く疑い開腹手術を行った. S状結腸に炎症を主体とする病変があり尿管が巻き込まれていた. 低位前方切除術, 回腸瘻造設術を施行した. 病理組織的診断では悪性所見はなく憩室に起因する急性・慢性炎症であった. 退院後, 3か月目のCTで左水腎症は改善傾向を示していた. 憩室炎は日常遭遇するごく一般的な疾患であるが, 尿管狭窄から水腎症を合併することはまれで, 悪性腫瘍との鑑別が難しい. 文献的な考察を加えて報告する.