Prion's Disease. A Case of Creutzfeldt-Jakob Disease Manifested the Clinical Symptoms Just After an Operation of a Chronic Subdural Hematoma: the Usefulness of Diffusion Weighted MR Imaging to the Early Diagnosis.

要 旨 慢性硬膜下血腫除去術の直後に発症 したCreutzfeldt-Jakob病(CJD)を 経験 した. これ はきわ めて特殊な経過であり, 術前にはもちろん, 術後において もCJDの 診断を下す ことは困難であった. その なかで, 進行性に悪化する臨床症状に加えて拡張強調MRIがCJDの 診断の糸口になった. つま り, 脳 波に未だ周期性同期性放電(PSD)の 出現 していない発病初期の脳MRIに おいて, T1強 調画像やT2強 調画像にほとんど変化がみられないのに対 し, 拡張強調MR画 像に明瞭な病変がみられた ことは特異なこ とであった. また, 本例においてはCJDの 初期の臨床症状は明 らかな左右差をもって発症 しており, かっ, 同時期の 脳MRIの 病変分布にもまた著 しい左右差が見 られた. これは先行 した慢性硬膜下血腫がCJDの 脳病変の発 現経過に影響を与えたものと推論され興味深いことであった. さらに本例は, CJD患 者が外科手術を受ける事態が現実に起こりうることを示す ものであり, CJDの 診 療に当る施設 においては, 感染防御対策の面か らだけでなく,手 術を受け入れるために必要な整備 と具体的 な手順書を早急に整えるべきであろう. (キーワー ド:ク ロイツフェル ト・ヤコブ病, 慢性硬膜下血腫, 拡散強調MR画 像, 感染防止対策)