A Case of Marfan's Syndrome with Repeated Occurrence of Acute Aortic Dissection during Treatment.

症例は26歳,男性.大動脈弁輪拡張症,大動脈弁閉鎖不全症の精査のために大動脈造影施行後,Stanford A型急性大動脈解離を発症した.3週間後に大動脈基部~弓部全置換術を施行し,末梢側はelephant trunkとした.8ヵ月後に残存する胸部下行大動脈の解離に対して胸部下行大動脈置換術を施行した.術中下半身の血行を維持するため左鎖骨下動脈に吻合した人工血管と胸部下行大動脈遠位部に挿入した送血管を連結して一時的バイパスを置いた.手術終了直後に両下肢の阻血が出現し,新たな解離の発症と診断した.ただちに開腹後,腹部大動脈の解離内膜の切除を施行した.経過は良好で術後3週間で退院した.治療および検査中にくり返し急性大動脈解離を発症することは希と思われるが,Marfan症候群の血管の脆弱性を再認識し,また治療上常に大動脈解離の発症を念頭におく必要性を認識させる示唆に富む症例であり報告する.