Prediction of Concrete-materials Related Waste: Resource-flow Simulation using Multi-agent-system

222 Vol.2 No.3 July 2006 1. 研究の背景と目的 日本の全産業廃棄物量のうち建設業は18%を占めており、 農業・エネルギー供給産業と並んで大きな比率を占める。 建設副産物実態調査によると、建設系廃棄物のうち3040%がコンクリートがらの排出、25-35%程度がアスファ ルトコンクリートがらの排出となっており、大きな割合を 占めている。グリーン調達等によりコンクリートがらの最 終処分量は減少し、再生路盤材は広く利用されることと なった。しかし、道路率の上昇1)と不況によって、道路 建設投資は急速な減少が予想されておりこれ以上の再利用 は見込めない。一方、高度成長期のコンクリート構造物は 近く建て替え・解体時期を迎え、コンクリートがら排出量 の増加と処分場の枯渇が問題となると定性的に指摘されて いる。そこで、コンクリートがらの新たな再利用策として 近年、高品質再生骨材の開発が進められてきた。また排出 源自体の抑制・平準化を目的として、建築長寿命化に資す る各種の補修・補強工法の開発も活発である。本報では、 コンクリートがらの代表的な排出量削減・抑制策として 「高品質骨材の導入」と「建築の長寿命化」という二つの 提案を選定し、これらの効果を定量的に示すことを目的と する。本報ではまず、上記の技術的・社会的な側面におけ る各種の環境負荷低減提案策を適切に評価するための包括 的な手法として、マルチエージェントシステムを用いた資 源循環シミュレーションシステム(以下EcoMAと称す) を提案する。その上でEcoMAを用いて、今後50年にわた る東京100 km圏のコンクリート系材料の資源循環を対象 として、現状、高品質再生骨材の実用化、建築の長寿命化 の3シナリオについて比較を行い、廃棄物抑制効果につい て検討する。