A CASE OF SUPERIOR LUMBAR HERNIA REPAIRED USING A KUGEL PATCH

腰部における抵抗減弱部位は腰三角として知られているが,稀に同部位にヘルニアが生じることがある.今回われわれは,上腰ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は86歳,男性.左腰背部腫瘤を主訴に当院外来を受診した.左腰背部に軟らかく圧痛のない4cm大の腫瘤があり, CTにて左上腰ヘルニアと診断し手術を施行した.手術所見では2.5×3cm大の腹横筋腱膜の断裂がヘルニア門となっており,腎周囲脂肪織および下行結腸の脱出がみられた.周囲組織が脆弱であったため, Kugel patchを留置しヘルニア門を閉鎖した.患者は術後2日目に退院され, 3カ月を経過した現在再発を認めていない. 上腰ヘルニアの本邦報告例は自験例を含めて35例である.治療は外科的修復が基本であるが,上腰ヘルニアに対しKugel patchを用いた報告は本例が初めてであり,早期退院を進める上で有用であると考えられた.