Gastrectomy after Coronary Artery Bypass Grafting with an In Situ Right Gastroepiploic Artery

右胃大網動脈(RGEA)を使用した冠動脈バイパス術後胃癌発症症例に対して,胃切除術前の経皮的冠動脈形成術(PCI)が有効であったので報告する.症例は73歳,男性.平成15年2月に不安定狭心症に対してRGEAを使用した心拍動下冠動脈バイパス術を行った.平成16年4月,貧血の精査の結果,肝転移を伴うBormann III型の進行胃癌と診断された.胃癌からの出血による貧血の進行を認め,止血および将来の通過障害の予防を目的とした手術が予定された.術前施行した血管造影検査で左回旋枝(LCx)に吻合したRGEAの開存を確認した.RGEAグラフトの温存が困難であった場合に備えて同年5月PCIによりLCxの閉塞病変を拡張し,6日後に幽門側胃切除術+Roux-Y吻合術を行った.RGEAは術中の損傷のために結紮切離を余儀なくされたが,術後とくに合併症なく第19病日に退院した.