Statistical Evaluation of Minimum Zone Method in Coordinate Metrology

本論文では, 座標計測における最小領域法の統計的評価の方法を提案した.まず, 測定値の範囲の統計的推定方法として, 順位が1の測定点の分布を統計的に求めた.この分布を利用することで測定点の範囲と測定点の数の関係を定式化することができた.この範囲は, 平面度, 真円度などにも同様の考え方で適応できると考えている.さらに, 測定点の範囲は測定点の確率密度関数の上限, 下限もしくはすそ野の形によって決定されることを示した.これによれば, 最小領域法による形状精度の決定にはかなり多くの測定点が必要になることを明らかにした.つぎに直線形体の傾きパラメータの性質について検討を行った.このパラメータの分布は, 順位1と2の測定点の分布によって推定できることを示した.しかし, パラメータの分布を推定することはかなり難しく, 測定値との分布などとの関係は今後の課題となった.これは, 平面の傾き, 円の直径や中心位置などの検討に対しても同様の問題となる.以上のような検討により, 従来あまり行われていなかった最小領域法に対する統計的評価の基本的な方法を定式化し, 以下の結論が得られた.(1) 測定値の範囲は, 測定点を大きさの順序で並べた測定点の順位および順位1の測定点の分布によってその性質を示すことができた.(2) 最小領域法で求めた, 直線形体の傾きのパラメータの統計的性質を推定し, 順位1の測定点の標準偏差によって, 傾きパラメータの範囲を表した.