近年,いくつかの研究機関において研究が進められている光の1周期以下の精度で多色のフェ ムト秒パルスの遅延時間,位相が制御された光シンセサイザーは,高強度単一アト秒パルスの発 生[1]だけでなく,様々な高強度場物理への応用が期待されている.しかしながら,現在までに報 告されている光シンセサイザーのパルスエネルギーは最大でも数 10 μJ 程度[2]であり,この低エ ネルギー性が幅広い光源応用への妨げになっている.本研究では,パルスエネルギーが 10 mJを 超えるテラワット級光シンセサイザーの開発を目指す. 本研究で開発するレーザーシステムは,CEP制御された 100 mJクラスのチタンサファイヤレー ザー(800 nm:28 fs)[3]と,その一部を励起光として OPAから生成したシグナル光(1350 nm:33 fs)の 2色のレーザーから構成される.2色パルスのタイミングジッターの高精度評価のためアト秒の 時間分解能を持つ BOC法[2]を用いた.分解能は約 24 asとなり,これは光の1周期(2.7 fs@800 nm) と比べて十分に小さく,正確なタイミングジッターの評価が可能であることが分かった.本研究 で使用したレーザーシステムは繰り返し周波数が 10 Hzである為,光パルスをタイミングジッタ ー制御の信号として使用した場合,フィードバック帯域が数 Hzに制限されるという問題がある. そこで,2色レーザー場生成の為の光学系に HeNe レーザーを共軸に伝搬させて,その空間干渉 信号により動的フィードバック制御を行い,さらに BOCを用いて同期精度の評価を行った.得ら れた結果は図1へ示す.制御前のタイミングジッター2.07 fsに対して,制御後は 0.36 fsとアト秒 の精度で光路長の制御を達成できた.講演では,より高速なフィードバック制御によるタイミン グジッターの評価および,各波長における CEP測定の結果もあわせて報告する予定である.