Identification of Fracture Properties by Inverse Analysis of Tracer Tests Using Genetic Algorithms

多孔質媒体中にフラクチャーが存在する場合,フラクチャー内では周囲の媒体に比べ浸透性が極めて大きいため,流体流動に大きな影響を及ぼす。トレーサー試験はフラクチャーを検知する一つの方法であり,得られたトレーサー流出濃度曲線を逆解析することでフラクチャーの特性を推定することが可能である。本研究では,多孔質媒体中に単一フラクチャーが存在する場合に行ったトレーサー試験を再現し,得られたトレーサー流出濃度曲線を逆解析することで,フラクチャーの特性を同定することを目的としている。シミュレーションにはフラクチャー周りの流れを正確に表すことができる複素変数境界要素法(CVBEM)を,逆解析には遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた。 逆解析を行う際,1種類のトレーサー流出濃度データを用いただけでは正確な同定が困難であった。そこで,異なる坑井配置で得られた2種類のデータで逆解析を行ったところ,より正確にフラクチャーを同定することが可能であった。また,GAにおける収束挙動からトレーサー流出濃度曲線の形状に支配的なパラメーターを考察した。