ANALYSIS OF SURGICAL CASES OF SMALL CARCINOMA OF THE PANCREAS

近年,腹部画像診断は進歩したが,腫瘍径が2 cm以下の小膵癌の発見は容易ではない.最近12年間に,当院で8例の小膵癌の切除例を経験した. 5例は心窩部痛または背部痛で発症したが,他の3例は症状がなく検診ドックでのUSの施行,または糖尿病の精査が発見の契機となった. USでは,全例で主膵管の拡張および腫瘤を描出できた. ERCPでも全例で膵管の狭窄,途絶像が認められたが, CTでは腫瘤像の描出は不良であった. 8例中5例で組織学的リンパ節転移陽性で,うち1例は肝転移陽性, 1例は門脈浸潤陽性であった. 5年生存率は43%であり, 2 cmを越える膵癌切除症例42例と比較して予後良好であった(p<0.01).術後のQOLを加味すると,小膵癌に対する根治手術は,第2群までのリンパ節郭清と部分的な膵外神経叢切除を伴う膵切除で十分であると思われる.