Investigation of parotid gland cancer surgery that preserved the facial nerve

要 旨 顔面神経を温存した耳下腺癌手術症例の,術後の顔面神経麻痺の推移と予後の関係を検討した報告は少な い。当科の耳下腺癌の治療方針は,術前から顔面神経麻痺がある場合は神経合併切除と一期的再建,麻痺がな い場合は組織型にかかわらず原則温存としている。過去 15 年間の顔面神経を温存した耳下腺癌手術症例 31 例 について検討した。観察期間中央値は 60 ヶ月,全摘 24 例,葉切除が 7 例であった。手術直後の顔面神経麻痺 スコアは平均 24 点,中央値は 27 点であった。術後顔面神経麻痺の推移は,一過性に完全麻痺の症例もあった が,最終的に平均 39.5 点まで回復した。回復期間は多くの症例が術後 6 ヶ月までに回復した。治療成績は,5 年全生存率・5 年無病生存率・局所制御率それぞれ 96.0%・89.5%・93.5%と良好な結果であった。術前顔面 神経麻痺のない耳下腺癌症例は,病理型に関わらず神経を温存しても治療成績は担保されると考える。