[Management of congenital mediastinal cysts: especially for mediastinal bronchogenic cyst].

1.先天性 腫の発生頻度,分類 本邦の縦隔腫瘍のうち胸腺腫が最も多く,ついで神 経性腫瘍,先天性 腫の順となっている.これらに続 いて多いのは奇形腫,リンパ性腫瘍,縦隔内甲状腺腫 の順である.先天性 腫の縦隔腫瘍に占める割合は 10 %前後であり,診断の向上とともに近年増加傾向にあ る.先天性 腫は気管支性 腫,心 腫,消化管 腫,髄膜 腫,胸膜 腫,胸管 腫,鰓弓性 腫,上 皮性 腫,血液 腫などに分類されるのが通常である. 2.気管支性 腫の発生の病態 気管支性 腫は胎生初期の気管・気管支の発生・分 岐異常によって起こる先天性の胸腔内 胞と考えられ ている.肺は胎生第 4 週に,前腸腹側へ肺芽として発 生し,直ちに 2 つの瘤状隆起(気管支芽)となり,つ いで右は 3 枝,左は 2 枝に分岐して肺葉気管支を形成 する.胎生 6 カ月には樹枝状分岐を重ねて 17 次気管支 まで分岐する.その分岐は出生後も続き,24 次分岐が 完成するのは 8 歳ごろと言われている.発生時期の違 いにより周辺組織の形成がほとんどみられない早い時 期に発生する縦隔気管支性 腫と,肺実質が形成され る胎生後期に発生する肺内気管支性 腫に分かれ る.縦隔型 75~85%,肺内型が 15~25% の比率で発 生する.薄壁単房性 腫で気管分岐部周辺に発生する ことが多く,気管・気管支と索状物で連結するが,通 常は内腔との交通はない.病理学的には, 胞壁は繊 毛上皮,気管支腺,軟骨,平滑筋,弾性繊維から構成 される.粘稠なクリーム状の内容物で満たされ,感染 を合併すると気管支との交通を生じ,空気で置換され たり,膿性化することがある.