GPI-Anchors: An Overview

GPIアンカー化がタンパク質の新たな膜への結合様式として発見されてからこの10年の間に、これらのアンカーに関する研究が劇的に増加してきた。これらの構造、生合成そして機能に関する莫大な量の知識が蓄積された。この知識をより詳細なものにするために、原核生物から酵母、哺乳動物細胞系に至る範囲に渡って研究がなされた。機能レベルの解析によって、GPIは単に膜アンカーとしての機能ばかりでなく、膜タンパク質の成熟や輸送、あるいはシグナル伝達機構における役割、そして病原性の要因といった多様な機能を示すということが明らかとなった。いわゆるGPI-トランスアミダーゼによりGPIアンカーをタンパク質に転移させる認識サイトが、生化学的手法と分子遺伝子学的手法を組み合わせることによって決定されてきた。変異株細胞系やGPI生合成系を欠損するという特性を持った酵母菌株を利用することによって、その遺伝子の同定や、そのうちのいくつかの遺伝子のクローニングが可能となった。これらのキーとなる事項がこの本論中で扱われている。