Iron overload and osteoarthropathy in long-term hemodialysis patients

10年以上の透析患者64例の内, 20例 (31%) が頻回の輸血と鉄剤の負荷による鉄過剰状態であった. 長期透析患者での鉄過剰負荷と骨関節障害との関連について検討するため, 鉄過剰群 (20例) と非鉄過剰群 (44例) を比較検討した. 鉄過剰群では全例が血清フェリチン値が1,000ng/ml以上で, 血清鉄値は1例を除いて150μg/dl以上の高値であった. 鉄過剰群では非鉄過剰群に比べて手根管症候群, 病的骨折の発生頻度が有意に (p<0.05) 高かった. 鉄過剰群では二次性副甲状腺機能亢進症による骨所見はみられず, 骨X線, 骨シンチ所見は骨軟化症に類似した骨低回転性であった. 8例で滑膜, 骨の病理組織を検討した. 全例でアミロイドの沈着を認め, さらに6例では鉄の沈着も証明した. アミロイドの沈着と鉄の沈着は何等かの関連が示唆された. 低回転性骨ではこれらの物質が沈着しやすい状態にあり, アミロイドや鉄の沈着は二次的な現象である可能性も示唆された. いずれにしても長期透析患者では過剰鉄が骨関節症を増悪させていることは間違いなく, 骨低回転の改善を計ると共に, これらの症例では輸血, 鉄剤の投与は慎重にしなければならない. 鉄過剰患者の治療にはDFOの他に, エリスロポエチンと瀉血の併用も有用であると考えられた.