FINDER

近年,都市部では高層ビルの増加などに伴い中継伝送に とっての環境は悪化の一途をたどっている.実際,そう遠 くない過去に中継実績がある現場であっても,現在では伝 送不可となってしまったという事例も多い.そのため,中 継担当者は事前に情報を収集し準備してから中継に臨んで いるわけだが,プロファイルなどの高度情報を利用しても, こういった高層ビルなど建築物に関するデータは,ほとん どの場合地図等には正確に反映されないため,その事前取 得情報の精度には限界がある. そこで,現場下見作業が必要とされるわけだが,土地勘が ない地域からの中継である場合,目標とするFPU(Field Pickup Unit:無線中継伝送装置)受信基地やSNG(Satellite News Gathering:通信衛星を用いた放送番組素材収集シス テム)通信衛星の方向が,すぐにはわからないこともある. このような時には,一度中継車を駐車して電測(電界強度測 定)を行ってみたものの受信状態が芳しくなく,同じ駐車場 内でも数メートル程移動しなければならなかったり,あるい は駐車位置を道路の反対側へ変更してはじめて伝送路が確保 できた,といったこともしばしばである. そこで今回,そういった中継現場下見作業を効率化し, 問題解決のための支援をすることを目的として,携帯端末 用アンドロイドアプリ『ΩFINDER(オメガファインダ)』 を開発した.本アプリケーションは,携帯端末にあらかじ め具備された機能を活用し,「地図上にさまざまな情報を 表示させ,中継車両の駐車場所決定を補佐する機能」と, 「中継予定現場から周囲を撮影した画像に必要な情報を重 畳し,伝送可否判断を補佐する機能」を実現することを目 的として設計したものである.本稿ではその構成や機能な ど技術的な開発結果について,具体的な使用事例も交えて 説明し解説を行う.