Infectious bursal disease virus (IBDV)の分離とわが国におけるIBDV沈降抗体の分布について

著者らは,1968年5月から1971年6月までに,岐阜・愛知両県の7養鶏場で,食欲不振,黄白色ないし緑色下廂便症状を呈し,71ブリシウス嚢(F嚢)は帯黄色水腫性に腫大する雛の疾病を観察した.このr嚢乳剤を雛に経口投与して,野外例のそれに類似する症状と病変を再現するagentsを分離し得たので,その経過と,わが国におけるIBDV沈降抗体の分布について記述する.接種雛の主要購剖所見としては,F嚢の水腫性腫大,粘膜の腫脹および帯黄色化,粘膜および漿膜下の点状出血がみられ,その内腔には暗赤色(凝血様)またはチーズ様内容物をいれていた.組織所見では,F嚢に特徴的なリンパ球の変性および壊死がみられた.本agcntsは,20%エーテルおよび20%クロロホルムに対し耐性で,Mi111porcfilterの50mμは通過したが,10mμは通過しなかった.分離agentsは既知IBDV抗血清で中和された・以上の成績から,今回分離されたagcntsは工BDVと考えられた.野外血清は,1971年1月から1972年6月の間,′27道府県から無作為的に集められた3417例である.抗体保有率を口令別にみると,IEi令雛(a)が52.5%,2~30日令(b)が4.7%,31~60日令(c)が30.3%,61~100日令(d)が48.1%,101-140日令(e)が61.0%,141~200日令(f)が67.1%,および200日令以上(g)が62.0%を示し,雛の日令に伴い,陽性率が高くなった.抗体保有率を地区別にみると,四国・九州および中部地区では高く,それぞれ82.0,63.0および53.5%を示し,中国・東北および北海道では低かった・平均抗体価を日令別にみると,(b)が2.3,(c)が5.8,(d)が12.4,(c)が11.0,(f)が6.6,および(g)が5.0価となり,61~100日令雛が最も高い.この日令では,雛の感受性が最も強い31~60口令よりおくれで,抗体のピークが現われた年次別にみると,陽性雛は1964年から現われ,1968年から約50%以上の雛が陽性を示した.以上のように,IBDVはわが国に広く蔓延していることが明確になった.