Design of Ambient Intelligent System for Supporting Human's Natural Adaption( Cognitive Interaction Design)

我々は,新学術領域研究「認知的インタラクションデ ザイン学」の中の C02班として,人─人工物のインタラ クションのデザインに関する研究を行っている.人工物 に対して人がもつ他者モデル(他者の行動を理解・予測 するための認知モデル)に応じてサービスを行うシステ ムの設計論を確立する.人─人工物のインタラクション を,アンビエントモデル(部屋・建物が対象),身体化 モデル(道具・車椅子・車・テレプレゼンスロボットが 対象),他者モデル(自律エージェント・ロボットが対 象)の三つに分類し,それぞれの人工物の設計論を,人 ─人インタラクションおよび人─動物インタラクションの 研究で得られる知見を参考に実現する方法を明らかにす る.特に,車や車椅子を移動の道具として見る場合や, 擬人化して捉える場合があることに着目し,使用状況に よって同一の人工物とのインタラクションが異なる可能 性も考慮する.本研究では,インタラクションが変化す ることを鑑み,人工物の使用状況に応じて適応的に他者 モデルを変更する方法についても明らかにする. 人は,相手の心的状態を読み,適応的に行動し,相手 と円滑にコミュニケーションを行う.動物に対しても同 様であり,時として車やコンピュータといった道具に対 しても,あたかも心をもつものとして扱うことがしばし ば見受けられる [Reeves 96].相手の心的状態を読みな がら行動することは,人工物に対しても行われるのに対 して,人工物側から人の心的状態を読み,それに答える 方法については確立されていない.人と人工物の間で心 的状態を読み合うインタラクションが実現されたとした ら,既存のユーザインタフェースの枠組みを超え,より 円滑なコミュニケーションや機器の操作環境が構築でき ると期待できる. 人と人工物のインタラクションの研究は,古くより行 われ,1980年代より国際会議 ACM CHIでコンピュー タサイエンス・インタフェースデザイン・ヒューマンフ ァクタ・認知科学といった観点から学際的に行われてい る.また,2006年より国際会議 IEEE/ACM HRIが始 まり,ロボットなど人に近い形で自律的に行動する人工 物と人のインタラクションに関する研究が行われてい る.しかしながら,多くの研究は,コンピュータソフト ウェアやロボットを使いやすくするデザインに関して, 人の適応性を支える環境知能システムの構築 Design of Ambient Intelligent System for Supporting Human’s Natural Adaption