Switching of bulk single particle in Tb 2 Fe 14 B / Fe core-shell system – magnetic hardening by exchange coupling with Fe –

我々の研究グループでは,薄膜プロセスを用いて焼結磁石の主相と粒界相の界面状態を模したモデル界 面を構築し,その界面状態と保磁力の関係を調べることで,ネオジム系焼結磁石の保磁力機構にアプロー チしている.これまで,設計膜厚の制御によって粒子サイズを 300 nmから 50 nmまで系統的に変化させた Nd2Fe14B粒子を作製したところ,その保磁力が粒径減少に伴って系統的に増加することや,これらの試料に Nd層や La層を被覆して熱処理することで,保磁力が粒径に依らず増大する現象 1, 2)等を見出している.こ の結果は,保磁力増大に有用であるとされる「粒径減少」と「界面制御」という 2つの要因は各々独立であり、 両者は加算的に寄与することを示唆している.従って,Nd2Fe14Bバルク単結晶のように粒径が極端に大きな 場合でも「適切な界面制御」がなされれば,反転核生成が抑制され保磁力発現の可能性があると考えられる. そこで本研究では,Nd2Fe14B系のバルク単結晶試料について,その表面状態と保磁力の関係を調べることで, ネオジム磁石の保磁力増大への指針を得ることを目的とした.今回は,Nd2Fe14Bよりも磁気異方性が大きく, 表面状態の変化が保磁力へ顕著に影響すると期待される Tb2Fe14Bバルク単結晶を対象とし,その表面状態 と保磁力の関係を系統的に調べた結果を主に報告する.