Influence of Thermal Shrinkage of Mouthguard Sheet Material on the Elongation and Thickness of Mouthguard Sheets after Forming

目的:マウスガードの製作に使用される熱可塑性シートは,加熱時の熱収縮により成形後の厚さに影響を及ぼす.本研究では,シートの熱収縮による成形後マウスガードシート各部の延びや厚さの違いについて検討した.方法:マウスガードシートに10 mm四方の格子を印記し測定部とした.延びの測定は格子線の前後,左右方向の長さをノギスにより計測し,厚さの測定は各格子の厚さをメジャリングディバイスを用いて計測した.作業模型は,上顎中切歯切縁で20 mm,上顎第一大臼歯近心頬側咬頭で15 mmの高さにトリミングした.成形は,シート中央部が基底面から15 mm降下した時点で吸引圧接して行った.シートの熱収縮が大きく生じる方向と平行または垂直に作業模型の正中線を設置して成形を行った際のシート各部の延び,厚さの変化率の違いを,t検定およびWilcoxon符号付順位和検定を用いて分析を行い,成形後の延びと厚さの関係を回帰分析により検討した.結果:シートの熱収縮が大きく生じる方向と平行に作業模型の正中線を設置したほうが垂直に設置するより,前歯部,臼歯部の延びは小さくなるが,口蓋部および臼歯部の厚さの減少率は大きくなった(p結論:成形後マウスガードの延びと厚さの関係はシートの設置方向で異なり,シートの熱収縮が大きく生じる方向と平行に作業模型の正中線を設置したほうが口蓋部,臼歯部の厚さが減少することが明らかとなった.