Mutual Complementary Approach and Activation of in-house Education by Lecture Exchanging Programs between Companies

工学教育(J.of JSEE), 65–3(2017) 1.はじめに 株式会社IHI(以下,IHI)とアズビル株式会社(以下, アズビル)は,技術者を教育するための独自の社内研修 カリキュラムを持っている.両社は,新しい試みと して,2012年度から2014年度にわたり,自社の社内講座 をそれぞれ相手会社に出前するという“交換講座”を行 った.本取組みは,技術人材育成に関する異業種間オー プンイノベーションとも言える. 現状の社員教育では,社内講座のラインアップに無い ものを社員に学ばせたい場合には社外で提供されている 公開セミナー等を受講させることが多いが,派遣する社 員数が増加してくると社内講座を仕立てた場合よりも反 ってコストが高くなる.一方,社内ニーズの高まりにあわ せて新規に講座を立ち上げるには時間と手間がかかり, 軌道に乗せるまで試行錯誤を重ねることも多い.こうし た背景から,会社間で一方の会社が得意とする技術分野 の講座を他方の会社に互いに提供し合うことは,低コス トでの技術の補完と社内講座メニューの強化に非常に有 効であると考えられる. 実際に第一期3年間の交換講座を実施した結果,所期 の目的を達成し,次の3年計画に向けて始動している. 本論文では,その実施結果を紹介しつつ,実施して見え てきた課題とその解決方策,効果について報告する.今 後,交換講座へ取り組もうとする企業に検討の一助とな ることを期待する.